「ずっと昔にね。アフリカのある部族の話を本で読んだことがあるわ。
その部族の人々は、死を旅立ちであると考えているの。
肉体は消えても、死者はまだ生き続けていると信じているのよ。
彼らにとって死者が本当に死ぬのは、その人を記憶している人間が一人もいなくなった時なの。
だから部族の人々は一生懸命に死んだ人のことを覚えていようとするの。
死者を生かし続けるのが、生きてる者の務めなのよ。」
「それはアンネさんが忘れられたからですよ。
本当はこの街の人は全員もうこの世に存在してない人なんですよ。
そして、それぞれがこの街以外に住んでいる誰かの思い出の中で生きてるんです。
家族とか、恋人とか、友人とか、知人とか、噂や本でその人を知った人間とか、とにかく覚えてくれている誰かの思い出の中でね。
だから思い出の持ち主が死んだり、その人のことを忘れてしまったりした時には消えてしまう運命にあるんですよ。」
(忘れ蝶のメモリー 新井千裕)
大切な人を死なせないために生きているのかもしれない.
【関連する記事】


